日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S21-4
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シンポジウム21
Percellome Project における精度管理とその解析への影響
*菅野 純北嶋 聡相﨑 健一小野 竜一
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抄録

 Precellome Projectの精度管理は、これに先行する医薬基盤研(現・医薬基盤・健康・栄養研究所)において2003年から開始されたThe Toxicogenomics Project (TGP)の立ち上げに端を発する。150以上の化学物質を齧歯類に順次曝露しマイクロアレイにより肝等の臓器の網羅的な遺伝子発現変動をデータベース化し、比較解析するプロジェクトを開始するにあたり、①マイクロアレイの定量性、②データ形式・条件の決定、③条件を満たす技術開発、を行った。①はLiver-Brain-Mixサンプルにより単色アレイを、更に付随条件によりAffymetrix GeneChipを選択、②Fold Changeデータの煩雑性からmRNA発現値を絶対量化する方針を選択、③枯草菌mRNAをスパイクする事で絶対量化する技術、及び、その精度管理法を確立した(2006, BMC Genomics 7(1):64参照)。GeneChipの採用は、Probeの定量性が一定の範囲に収まるように塩基配列が選択されており、Q-PCRによるデータと大きな乖離が無いことを確認して決定したものである。

 現在まで、若干の修正を経ているが基本概念の変更なく、蓄積したGeneChipデータは、実験間、臓器間で直接比較に耐える精度を維持し続けている。最近、本projectに導入した新型反復曝露実験において、遺伝子発現変動が二つの成分、即ち、曝露の都度に変化を示す「過渡反応」と、曝露を重ねるに連れ発現値の基線が徐々に移動する「基線反応」に分解できる事を示したが、特に後者の反応を的確に表示することを可能にしているのが本Projectの精度管理システムである。

 本発表では、基線反応と過渡反応の組み合わせを考慮したネットワーク解析における精度管理の重要性を報告する(厚生労働行政推進調査事業費による)

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