日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S22-2
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シンポジウム22
MEASURE:免疫不全マウスを用いたin vivo造腫瘍性試験
*田中 直子
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抄録

【目的】

ヒト多能性幹細胞を原材料とする細胞加工製品の臨床使用においては、製品中に残存した未分化多能性幹細胞が腫瘍を形成する可能性がある。そのため、残存した未分化多能性幹細胞を検出する試験は製品の造腫瘍性を評価する上で重要である。MEASUREでは、免疫不全マウスを用いたin vivo造腫瘍性試験の標準プロトコルを作成し、多施設で検証した。

【方法】

予備試験では、102 - 105のヒトiPS細胞株(ChiPSC18)をマイトマイシンC処理したヒト線維芽細胞、マトリゲルおよびROCK阻害剤と共に雄性NOGマウス(各群6匹)の側腹部に皮下投与した。投与後20週間観察を行い、投与部位に形成された腫瘤の大きさを経時的に測定した。観察終了時には腫瘤を摘出し、病理組織学的評価を行い、Spearman-Kärbor法により50% Tumor Producing Dose(TPD50)を算出した。同じプロトコルを用いて5施設で6試験を実施した。予備試験の結果から、本試験ではヒトiPS細胞の投与用量を10 - 104に変更し、雌雄NOGマウスを用いて4施設で4試験を実施した。

【結果および考察】

予備試験の結果、全ての投与群で投与部位に腫瘤が形成された。投与部位以外に腫瘤は認められなかった。病理組織学的検査により全ての腫瘤はテラトーマと診断された。TPD50値は10 - 680であった。本試験のTPD50は雌雄共に15 - 100となり、雌雄差は見られなかった。今回の試験方法は、雌雄差、施設間差のばらつきはあまりなく、20週の観察期間で十分に未分化iPS細胞を検出できるものと考えられた。

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