日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S22-3
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シンポジウム22
MEASURE:多能性幹細胞検出のためのin vitro 試験 :(1)ドロップレットデジタルPCR法(ddPCR)
*我妻 昭彦
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抄録

【目的】

多能性幹細胞由来細胞加工製品を移植する場合、未分化多能性幹細胞は奇形腫形成リスクを有するため、残留する可能性のある未分化多能性幹細胞を検出することは細胞加工製品の造腫瘍性リスクを最小化する上で重要である。今回、未分化多能性幹細胞検出のためのin vitro試験の一つであるドロップレットデジタルPCR法(ddPCR)すなわち、未分化細胞マーカーのmRNAを増幅させて検出する方法に関して、多施設で検証し、その感度を確認することを目的とした。

【方法】

既報である未分化細胞マーカーとしてLIN28を用いて微量のiPS細胞を検出するddPCR法の感度(0.001%)の再現性を多施設で検証した。

具体的には、ヒト網膜色素上皮細胞(hRPE)にヒトiPS細胞を0.0003%~0.1%の割合で混ぜ細胞混合液を調製した。細胞混合液から抽出したRNAを用いてLIN28に対するプライマー・プローブを用いてddPCRを実施した。試験は4施設(各施設N=3)で実施し、hRPEに対する検出感度を求めた。なお、検出感度はブランクサンプルの平均値+3SDにより算出した。

【結果および考察】

全施設において、0.001%の検出感度の再現性が確認された。検出感度0.001%における陽性ドロップレット数の平均値は2.33~12個であり、本検出系の性能がほぼ発揮されていると考えられた。本手法は多能性幹細胞由来細胞加工製品における未分化多能性幹細胞の残存リスクを迅速に評価する手法として有用であると考えられる。

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