日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-70
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ポスターセッション
血清中甲状腺ホルモン(T3, T4)及び甲状腺刺激ホルモン(TSH)レベルの背景対照データ
*青塚 三穂遠藤 ちひろ川上 美季石川 典子矢部 薫藤井 咲子松井 豊松浦 正男
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抄録

[目的] 甲状腺ホルモンは,哺乳類の成長や発達,脂質代謝に影響を与える.また,初期発生中の神経細胞の分化と増殖に重要であり,ヒトでは妊娠中の母親のT4レベルの僅かな一時的な低下でさえ,子供の神経発達に悪影響を与える可能性があるとされる.これらのことから,潜在的な内分泌活性の検出力を高めるためOECDの毒性試験法ガイドライン(Nos. 408, 421, 422, 443)に,血清中甲状腺ホルモン(T3, T4)または甲状腺刺激ホルモン(TSH)の評価が追加された.我々は,被験化学物質の毒性評価に利用するために,対照動物を用いてこれらのホルモンの背景データを取得した.

[方法] Crl:CD(SD)ラットを用いて,均一なデータ取得のため実験手順を調整した.雄は7~16週齢で,雌は分娩後14日に,一晩の絶食後イソフルラン麻酔下で腹部大動脈より午前中に採血した.哺育児は生後4及び13日に各腹2匹を断頭により血液を採取してプールした.各ホルモンの血清中濃度を,市販のキットを用いたELISA法で測定した.各サンプル採取または測定日 (18〜29ロット,ロット当りの動物または同腹児数3〜14) 毎に平均値を算出し,全体の平均値,最小値及び最大値を各ホルモンについて求めた.

[結果] 得られた値の変動係数はいずれのロットにおいても,T3及びT4で25%未満,TSHで35%未満であり,ガイドラインに規定される基準を満たした.数値については会場で提示する.

[結論] 蓄積された背景対照データは,化学物質暴露によるホルモンレベルの変化を評価する際に利用できると考えられた.

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