日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-82
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ポスターセッション
ICRマウスの毒性試験における対照群の偶発死亡の発生状況
*岡本 武三三田 功二丸山 剛柴北 健佑里本 健輔嶋本 敬介黒岩 有一
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抄録

動物試験において、使用する実験動物の特徴や背景病変を把握することは、試験結果の評価を行ううえで極めて重要である。今回、ICRマウスの偶発死亡の発生状況について調査を行ったため、その結果を報告する。調査対象とした試験は、2009年4月~2020年3月に当施設において実施されたICRマウス(Crl:CD1及びCrlj:CD1)試験(2、4、13及び26週間毒性試験及びがん原性試験の31週齢までのデータ:全29試験)である。

これらの試験の対照群(雄:1200匹、雌:1200匹、計:2400匹)において、雄4例(0.34%)及び雌12例(1.00%)が31週齢までに死亡又は瀕死期剖検された。推定死因は、ヒアリン糸球体症(雌1例)、糸球体腎炎(雌雄各1例)、表皮剥離(雌1例)、骨肉腫(雄1例)、悪性リンパ腫(雄1例、雌3例)、子宮ポリープ出血(雌1例)、貧血(雌1例)であり、その他の例は、病理検査でも死因と考えられる変化がみられない死因不明の死亡であった(雄1例、雌4例)。悪性リンパ腫は本系統の老齢マウスで高頻度にみられる自然発生腫瘍であるが、骨肉腫と同様に比較的若い週齢から発生していた。また、糸球体起因の腎障害による死亡が若週齢(8週齢)からみられることは、本系統のマウスの特徴の一つと考えられた。今回の調査結果が、被験物質投与群で偶発死亡が発生した場合の解釈に有用な情報提供となることを期待する。

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