日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: S14-4
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シンポジウム14
治験開始及び承認申請時における非臨床心血管系リスク評価の考慮すべき事項 ~審査(PMDA)側からの視点~
*角田 聡
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抄録

2009年に医薬品のQT間隔延長リスクに注目した評価方針として、ICH-S7Bガイドラインが発効され、in vitro試験及in vivoの心電図(QT)測定の結果から、医薬品のQT間隔延長リスクについて統合的な評価が求められている。ICH-S7Bの発効後、数多くの医薬品候補化合物を用いたhERG試験及びin vivo QT測定が実施され、thorough QT(TQT)試験等に代表される臨床成績等との比較により、非臨床におけるQT間隔延長とヒト催不整脈リスクとの関連性について継続的な検討が行われている。また規制当局側においても、これらの試験系でQT間隔延長リスクを有する場合において、ヒト初回投与時の安全性確保の方策や、承認申請におけるヒトへの催不整脈リスク評価を踏まえた禁忌等の設定や添付文書における適切な注記喚起の方法が検討されている。ICH-S7B発効後、遅延整流カリウムイオンチャネルを介するカリウムイオン電流(IKr)以外のNa及びCaチャネル電流阻害測定法や、iPS細胞由来の心筋細胞を用いた新規in vitro試験系が新たに開発され、その試験成績がヒトリスク評価の参考資料として用いられ始めている。本発表では、非臨床心血管リスク評価でQT間隔延長リスクが認められた薬剤について、ヒト初回投与時における安全性確保の考え方、及びTQT試験や非臨床フォローアップ試験等が得られた承認申請において、上市後のヒトへの安全性確保を目的とした審査時の視点を説明する。さらに、ICH-E14/S7Bワーキンググループにおいて利用が検討されている、in vitro試験系の成績が、承認申請等に参考資料として用いられた際のヒトリスク評価上の審査の視点についても、本邦で最近上市された非循環器系薬剤を例にとり、承認審査時の観点を中心に報告する。

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