日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: S4-3
会議情報

シンポジウム4
アンドロゲン高産生マウスを用いたアンドロゲン作動性に起因するエンドポイントの同定と毒性試験への応用
*中西 剛
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

アンドロゲンは性特異的な生殖器官形成等を司る重要な因子であるが、近年、潜在的にアンドロゲン拮抗作用を有する環境化学物質が数多く見いだされていることから、化学物質の毒性評価においては、アンドロゲン作動性の検出も重要な課題である。現在、内分泌かく乱化学物質の毒性評価にはTiered Approachが用いられており、アンドロゲン作動性についてはそのポテンシャル評価のために、スクリーニング試験としてハーシュバーガー試験が、また有害影響を評価する毒性試験のエンドポイントとしては、肛門生殖結節間距離などのアンドロゲン関連指標と考えられているものが用いられている。しかし、これらのスクリーニング試験やエンドポイントは、エストロゲン作用にも応答することが報告されており、必ずしもアンドロゲン作用による影響を反映したものでない可能性が指摘されている。これはアンドロゲンに依存して変化する生体応答に関する情報が、未だに脆弱であることに起因していると考えられる。このような背景のもと我々は、化学物質のアンドロゲン作動性評価の精緻化を目的に、胎生期からアンドロゲンを過剰に産生するトランスジェニック(Tg)マウスモデルを独自に作製し、雌雄双方におけるアンドロゲン依存性のエンドポイントの同定を試みてきた。本講演では、我々の確立したTgマウスモデルにより見出されたアンドロゲン依存性のエンドポイントについて紹介するとともに、新たな毒性評価法についても提案したいと考えている。また、新たに確立した評価法を用いて、抗アンドロゲン作用が報告されている化学物質について再評価を行ったので紹介したい。

著者関連情報
© 2021 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top