COVID-19の流行により、GLP施設においても急速に業務の電子化の必要性が高まっている。すでにData Integrity対応として、電子生データの管理が検討されてきたが、さらに在宅勤務を推進するため、運営管理者や試験責任者による文書や作業の承認、スポンサーによる試験受託施設の監査等がリモートで実施できるIT環境の整備が進められている。日本QA研究会GLP部会では、非臨床試験業務の電子化を推進するために、試験施設におけるコンピュータ化システム及び電子データの信頼性保証について検討を行ってきた。近年では、OECDのコンピュータ化システムの管理に関するガイダンス(OECD GLP Advisory Document No.17)やMHRAのData Integrityガイダンス、FDA Warning Letter等を分析し、最適な管理方法や信頼性調査の方法を提案してきた。
今回、これらの検討をもとに、特に非臨床試験で想定される在宅勤務においてポイントになると思われる、電子記録類の承認等の取り扱いとクラウド等の外部ITリソースの利用について、Data Integrity観点から課題と対応を考察する。また、委託試験において増えているリモート監査についても触れる。