近年の医薬品開発においては、創薬技術革新によって低分子や抗体医薬に加え、核酸、再生・細胞治療製品、遺伝子治療、デジタル治療、これらの融合等々、モダリティは多岐にわたってきている。一方、毒性試験法のガイドラインにおいては、新たなモダリティを完全にカバーできるものはなく、複数のガイドラインを同時に参照・解釈しつつ、試験パッケージや試験デザインを組むこととなる。このようにモダリティの多様さ、複雑さは今後もさらに進み、ガイドライン策定が追い付いていない状況では、ケースバイケースでPMDAと相談しながら進めることが必要かつ重要となる。しかしながら、企業側と規制当局側では、患者の手元に良い薬を一日も早く届けたいという目的は一緒でも、互いに立場が異なるが故の“考え方のギャップ”が存在する。その結果、時に企業側には腹落ちしにくい相談結果となり、場合によっては開発断念あるいは開発国の再考といったことも生じ得る。我が国での医薬品開発を活性化するには、まずこの“考え方のギャップ”を双方で理解することが重要なのかもしれない。
本セッションでは、仮想医薬品として近年開発が増えてきた非天然型アミノ酸を含むペプチド製剤を取り上げ、試験パッケージや試験方法あるいは結果の解釈において企業側の見解を示しPMDAとの対話の題材とする。加えて先に行った23社のアンケート結果から出てきた疑問についても取り上げ、参加者と議論したい。