日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-124
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食品中に含まれるクマリンの肝毒性リスク評価についてのIn Silicoアプローチ
*勝谷 成男山田 隆志村山 典恵山崎 浩史Weida TONG山添 康広瀬 明彦
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抄録

食品から摂取されるクマリンについては一般に安全であると考えられているが、実際には肝毒性が時に発生している。本検討では、インシリコの方法を導入するとともに臨床及び非臨床の知見に基づいて、クマリンによる肝毒性の再評価を試みた。クマリンについては、マウス、ラット及びイヌの毒性試験において肝毒性がみられ、肝臓が標的臓器とされている。一方、ヒトにおいてはクマリンと肝毒性の関連については未解明の部分が多いが、CYP1A2とCYP2A6が酸化代謝物の生成及び毒性の種差あるいは個体差に関連すると考えられている。クマリンが多量に摂取される場合には、イヌの慢性毒性試験の無毒性量(0.1 mg/kg/日)と不確実係数(UF)である100から設定された耐用一日摂取量を上回ることが報告されている。インシリコのPBPKモデルでは、ヒトにおけるクマリンの血中濃度はin vitroでのヒト肝細胞に影響する濃度よりもかなり低いことが明らかになった。一方、FDAにおいて開発されたDILIスコアモデルでは、クマリンが本モデルの適合ドメインにあることを確認した後に適用した結果、通常摂取の範囲内でも肝毒性のポテンシャルがあることが判明した。本研究から、インシリコの方法によってクマリンの肝毒性のポテンシャルが明らかにされ、食品成分の肝毒性リスク評価においてインシリコのアプローチが有用であることが判明した。

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