日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-125
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「新規の食品」の安全性を確保するための諸外国の制度比較
*五十嵐 智女松村 万里小川 いづみ矢川 千織早川 孝彦越智 美代子齊藤 洋克桒形 麻樹子北嶋 聡
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抄録

 現在、フードテックを活用した「新規の食品」の研究開発が各国で進められており、既に様々な代替タンパク質や機能性食品等が上市されているが、持続可能な開発目標(SDGs)の潮流が加わり更なる加速化が予想される。本研究では、諸外国における「新規の食品」の安全性確保のための制度比較を行うことを目的に、7つの国・地域についてWeb上の公開情報を調査した。規制の枠組み、定義、適用範囲、上市までのプロセス、5つの食品(遺伝子組換え食品(GM)、ゲノム編集食品、昆虫、培養肉、サプリメント)に着目して比較を行った。

 その結果、調査対象としたすべての国・地域において、食経験のない食品は上市前の承認が必要である。承認プロセスは国ごとに異なり、承認された食品および成分のリストが公開されている。米国にはGRAS制度があり、その他の5か国と欧州連合(EU)には“Novel Food(s)”と呼ばれる枠組みがある。その定義や適用範囲については、国ごとに詳細は異なるが、食品としての安全な使用歴である食経験だけでなく、製造方法等の違いも考慮している点は共通である。前述の5つの食品とNovel Food(s)の枠組みとの関係は国ごとに異なる。このうち、EUのNovel foodは10のカテゴリーから構成される包括的な枠組みであり、GMとゲノム編集食品を除いて、昆虫や培養肉、Food supplementsの一部を対象に含む。昆虫については、EUが2021年から乾燥イエローミールワーム、トノサマバッタ、コオロギの3種を相次いで承認した。培養肉については、シンガポールが2020年にチキンナゲットを速やかに承認しており、このような急速な動きに注意を払う必要があると考える。一方、サプリメントの場合は、特に医薬品との差別化の観点からの調査が不十分であったため、今後この点を考慮した比較検討を行う予定である。

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