日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-137
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臭素系難燃剤であるテトラブロモビスフェノールAとヘキサブロモシクロドデカンはPC12細胞においてネクロトーシスシグナルを活性化する
*中島 晶阿部 ななみ
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抄録

[背景・目的]

TetrabromobisphenolA(TBBPA)は電子機器や家具など身の周りの製品に幅広く利用されている世界で最も主要な難燃剤である。Hexabromocyclododecane(HBCD)は近年まで使用されていた難燃剤であるが、その毒性のため日本では2014年に原則製造及び使用が禁止された。

TBBPAやHBCDは培養神経細胞において神経細胞死を引き起こすことが報告されているが、その詳細は明らかではない。本研究では神経モデル細胞であるPC12細胞を用いて、TBBPA及びHBCDがプログラムされたネクローシスであるネクロトーシスシグナルに与える影響を検討した。

[方法]

PC12細胞にTBBPA及びHBCDを24時間処置し、細胞毒性をCCK8 assay及びLDH assayにより検討した。また、TBBPA及びHBCD処置後の細胞を回収し、ネクロトーシス関連因子のmRNA発現量及びタンパク質発現量をリアルタイムRT-PCR法及びウェスタンブロット法により定量した。ネクロトーシス阻害剤としてnecrostatin-1を用いた。

[結果・考察]

TBBPA及びHBCDの処置により、濃度依存的なPC12細胞毒性が観察された。TBBPA及びHBCDの処置により、RIPK3及びMLKLの mRNA発現量及びタンパク質発現量は顕著に増加した。一方、RIPK1の発現量には顕著な変化は見られなかった。TBBPA及びHBCDにより誘導される細胞毒性はnecrostatin-1の同時処置により、濃度依存的に抑制された。

[結論]

臭素系難燃剤であるTBBPA及びHBCDはPC12細胞においてネクロトーシスシグナルを活性化することが示唆された。

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