日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-138
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ヒト及びネッタイツメガエル由来の甲状腺ホルモン受容体を用いた出芽酵母レポーター遺伝子アッセイの検証
*小川 真弘北本 隼也原島 小夜子川西 優喜八木 孝司寺田 めぐみ
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抄録

【目的】甲状腺ホルモンは脳の発達や心機能を担う重要なホルモンであり、その機能は核内受容体である甲状腺ホルモン受容体(TRα及びTRβ)の活性化を介して発揮される。核内受容体を介した内分泌かく乱作用を評価するin vitro試験系としてレポーター遺伝子アッセイが挙げられる。甲状腺ホルモンについては、ほ乳類細胞を用いたレポーター遺伝子アッセイはいくつか報告されているが、我々は、より安価で簡便な試験系として、これまでにヒト及びネッタイツメガエル由来のTRαあるいはTRβを高発現させることができる出芽酵母を用いたレポーター遺伝子アッセイを構築した。そこで本報告では、ヒト及びネッタイツメガエルの2つの甲状腺ホルモン受容体(TRα及びTRβ)を評価する4つのレポーター遺伝子アッセイの検出能力を甲状腺ホルモン類及び既知の抗甲状腺ホルモン物質を用いて検証した。

【方法】ヒト及びネッタイツメガエル由来のTRαあるいはTRβを高発現させた出芽酵母を被験物質存在下で16時間培養した。その後、レポータータンパク質であるβ-ガラクトシダーゼを出芽酵母から溶出させ、酵素活性を測定した。抗甲状腺ホルモン物質の評価については、甲状腺ホルモンと被験物質を同時に処理した。また被験物質の出芽酵母に対する毒性影響をβ-ガラクトシダーゼを恒常的に発現している出芽酵母を用いて評価した。

【結果】ヒト及びネッタイツメガエル由来のTRα、TRβともに、甲状腺ホルモン類について濃度依存的なレポーター活性の増加が認められた。一方、ヒト由来の受容体では今回試験した抗甲状腺ホルモン物質は全て阻害活性が認められたが、ネッタイツメガエル由来の受容体では、阻害が認められなかったものもあった。現在、さらに他の被験物質に関しても検討中である。

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