日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-175
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幼若ビーグル犬の血液検査値の変動(検討2)2週齢から16週齢時までの血液学及び血液生化学検査値の推移
*岡川 美晴末廣 祐貴関川 滉太立川 宏司山田 忠和木下 陽一久芳 克次相原 丈洋山本 正敏掛川 亮高井 直史
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抄録

【目的】イヌは、新生児期(出生~2週齢)、移行期(3~4週齢)、社会化・若齢期(4週齢以降)及び青年期(8~10ヵ月齢)を経て、若年成犬(1~2歳齢)へと発育する。小児用医薬品開発において幼若動物を用いた安全性試験の重要性が増し、各研究機関で背景データが蓄積されてきた。しかしながら、イヌにおける4ヵ月齢未満の発育に応じた血液検査値の変動についてはまだ十分に解析されていない。今回、幼若ビーグル犬を用い2~16週齢までの血液学並びに血液生化学検査値の推移について調査した。

【材料及び方法】北山ラベス(株)本郷ファームで生産した仔犬(TOYOビーグル)を使用し、2、4、6、8、12及び16週齢時に頸静脈から採血し、検査に供した。週齢毎の平均値±SDを算出し、雌雄差の有無を検定した。さらに、成犬(12ヵ月齢)の検査値と比較した。

【結果】血液学検査において、RBC、HGB、HCTは若齢時に低値から次第に増加し、MCV、MCH、Retは若齢時に高値から次第に減少した。WBCは若齢時に個体差が大きかったが、加齢とともに減少傾向を示した。リンパ球比又は偽好酸球比は8週齢を境に減少又は増加した。一方、血液生化学検査値は、増加パターン(TP、ALB、CRE、NEFA、ALT、LAP)、減少パターン(CK、GLU、Ca、IP、γ-GTP、LDH、BUN)、増減パターン(T-CHO、HDL-CHO、PL、F-CHO、ALP)の大きく3つのパターンで推移した。その他の項目では加齢による変動は少なかった。また、有意差検定の結果から、雌雄差はないと判断された。16週齢時において、成犬(12ヵ月齢)レベルの値に達していない検査項目が多くみられた。

【まとめ】幼若期では加齢に伴う変動が多くの項目でみられた。今回の結果は、幼若期ビーグル犬の検査値を評価する際の有用な基礎データとして役立つと考えられた。

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