日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-193
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エチゾラムおよびゾルピデムの併用投与は臨床用量で遅発性の協調運動障害を惹起する
藤倉 よしえ高木 美桜杉山 由希子*安東 賢太郎
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抄録

【背景・目的】ベンゾジアゼピン系睡眠薬は副作用として筋弛緩作用による転倒・骨折、眩暈やふらつきなどが知られており、併用処方はこれらの発現頻度を高め得る。医薬品の安全性試験は一般的には併用時の評価は行われない。そこで、我々は催眠鎮静薬の中から処方数が多いベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の単独および併用時のふらつきに対する作用を協調運動を指標に評価した。

【方法】1分あたり10回転する直径90 mmの回転棒上で2分間ラットを歩行させ、回転棒から落下するまでの時間を協調運動の指標とした。2分間以上の歩行が可能だった場合は落下時間2分と評価した。実験にはSD系雄性ラット(6〜10週齢)を2日以上の馴化期間をおき、無処置の時に前記の条件の回転棒上で2分間の歩行可能な個体を用いた。被験薬物としてエチゾラム、ブロチゾラム、ゾルピデムを用い、臨床投与量を低用量、その2倍量を高用量とした。協調運動に対するそれぞれの単独作用およびエチゾラムとゾルピデム、ブロチゾラムとゾルピデムの低用量の併用時の協調運動の評価を、被験薬物の投与前および投与後最長32時間まで行った。

【結果】エチゾラム、ゾルピデムの単剤投与は、低用量群、高用量群とも協調運動に影響しなかった。ブロチゾラムの単剤投与は、低用量群では協調運動に影響しなかったが、高用量群では抑制傾向を示した。一方、エチゾラム、ゾルピデムの低用量群同志の併用では経時的に協調運動抑制作用を示し、薬物投与32時間後でも統計的に有意な抑制作用を示した。ブロチゾラムとゾルピデムの併用投与では、協調運動抑制作用に対する協力作用は認められなかった。

【結論】単独では協調運動抑制作用を示さなくても、より低用量の併用によって抑制作用を起こす可能性が示された。また、協調運動抑制作用の発現は併用薬の組み合わせによって変わり得ることを示唆した。

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