日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-89S
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HaCaTを用いたジャパニーズスタンダードアレルゲンの皮膚感作性評価
*渡辺 慎太郎佐藤 秀亮安藤 天湧寺田 智哉関本 征史
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抄録

ヒト表皮角化細胞HaCaTでのNuclear factor erythroid2-related factor 2(Nrf2)の活性化は、化学物質による皮膚感作性の指標となりうる。我々は、HaCaT細胞由来のNrf2活性化モニタリング細胞(HaCaT-Nrf2-Luc細胞)を作成し、これを用いて複数のプレハプテンを検出できることを確認してきた。しかし、臨床的に陽性患者が多く見られる代表的なアレルゲン(ジャパニーズスタンダードアレルゲン(JSA)、22種)の中にはin vitro感作性が未評価なものもある。そこで本研究では、HaCaT-Nrf2-Luc細胞を用いてJSAの感作性を評価した。

JSAは佐藤製薬のパッチテストを購入し、1種類あたり500 µLのDMSOで24時間抽出したものを試料とした。まず、HaCaT-Nrf2-Luc細胞に対してJSA抽出物を処理し、Nrf2活性化をLuciferase assayにより評価したところ、22化合物のうち11化合物(50%)のみが陽性となった。そこで、別に樹立したHaCaT由来細胞を用いて炎症関連転写因子であるNuclear factor-kappa B(NF-kB)とActivator protein 1(AP-1)の活性化についても評価したところ、NF-kB活性化は5化合物(23%)、AP-1活性化は8化合物(36%)のみに認められ、8化合物(36%)はどの転写因子も活性化しなかった。

ガイドラインに収載されているKeratinosensなどのデータでは、概ね80%程度の感度・特異度があることが報告されているが、本研究では陽性化合物が想定よりも少なかった。HaCaT細胞株の異物代謝能は限定的なことも指摘されていることから、これら化合物の検出における異物代謝の寄与を明らかとし、その改善を図る必要がある。

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