日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-91E
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DMSOを用いないReactive oxygen species (ROS) assayの検討
*大竹 利幸廣田 衞彦
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抄録

【背景・目的】Reactive oxygen species (ROS) assay はin chemico光反応性試験として ICH S10ガイダンス及びOECD テストガイドラインNo. 495に収載されており、社内原料の光安全性評価に活用している。ROS assayにおける原因不明の問題(照射後のSuperoxide anionのBlank吸光度上昇)が媒体DMSOに起因することを発見し、Cu2+をリン酸緩衝液(NaPB)に0.1 μM添加することで安定した試験結果が得られることを報告した1)。しかしながら、ROS assayはDMSOを添加する試験系であること、Cu2+はSuperoxide anion scavengerであることからDMSOを用いない試験系の確立が望まれる。そこで、本研究では、DMSOを用いないROS assayの検討を行った。

【方法】超純水を用いてNaPBを調製し、被験物質にはProficiency chemicals 17物質を用いた。溶媒にはエタノール、イソプロパノール、アセトニトリル及びアセトンを用いて、手順はTG495に従って試験を実施し、Singlet oxygen(SO)及びSuperoxide anion(SA)の生成量をバリデーション研究で得られた許容範囲と比較した。

【結果】各溶媒のSO及びSAの生成量を確認し、陽性基準値を下回ったエタノール及びアセトニトリルを媒体として選択した。また、Norfloxacinは両方の溶媒に溶解しなかったため、残り16物質を評価した。エタノールについては、PromethazineのSOが基準値を下回り、KetoprofenのSAが基準値を上回った。一方、アセトニトリルについては、p-Aminobenzoic acidのSOのみが基準値を上回った。

【結論】アセトニトリルは偽陰性結果が認められなかったことから、ROS assayの溶媒として使用可能と考えられ、適用範囲の拡大が期待される。

【今後の予定】被験物質数を拡大し、溶媒の優先順位の検討を行う。また、植物抽出物などを用いた混合物評価やTween 20を添加することで難溶性物質にも適用拡大したMicellar ROS assayも検討する。

1) Ohtake and Hirota, 2022. J. Toxicol. Sci. 47, 109-116.

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© 2022 日本毒性学会
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