日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: S16-3
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シンポジウム16
遺伝子治療薬における安全性評価の現状と課題
*三宅 弘一
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抄録

世界で初の遺伝子治療が米国にてADA(Adenosine Deaminase Deficiency)欠損症に実施されてはや30年以上が経ち、現在3000以上の遺伝子治療臨床試験が実施され、近年がんや遺伝病を対象とした遺伝子治療薬が日本においても再生医療等製品として承認されている。一方で、これら遺伝子治療薬の開発においてはアデノウイルスベクターのin vivo投与による死亡事故をはじめとし、レトロウイルスベクターを使用したex vivo遺伝子治療による白血病の発症など重篤な有害事象も報告されている。昨年アデノ随伴ウイルスベクター(Adeno-associated viral vector :AAV)を用いたX連鎖筋管ミオパチーやデュシェンヌ型筋ジストロイーの遺伝子治療治験で死亡事故を含む有害事象が発生したのは記憶に新しい。このような重篤な毒性をはじめとして様々な毒性の種類や発生頻度に関しては使用するウイルスベクター、その投与量、投与方法、標的細胞等によって異なってくる。我々はAAVを用いた低ホスファターゼ症に対する遺伝子治療薬を開発中であり、可能な限り安全性を高め、毒性を最小限に抑えるために、高力価、少容量、限局投与による治療方法を検討している。本シンポジウムではin vivo遺伝子治療薬を中心に、現在我々の教室にて開発中の低ホスファターゼ症に対する遺伝子治療薬を踏まえてその有効性、安全性及び今後の課題について紹介する。

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