日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: S21-1
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シンポジウム21
授乳に関する添付文書記載要領の改訂について
*大原 玲子
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抄録

医療の進歩や高齢化、IT技術の進歩など、医療を取り巻く状況が大きく変化していることから、添付文書をより理解し易く活用し易い内容にするために、約20年ぶりに医療用医薬品の添付文書等の記載要領を改正する通知が平成29年6月に発出された。

旧記載要領では「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項において授乳に関する情報提供がされていたが、新記載要領では「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」の項に「9.6授乳婦」が設定され、注意事項は「授乳を避けさせること」、「授乳しないことが望ましい」又は「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」を基本として記載することとされた。また、「乳汁移行性のみならず、薬物動態及び薬理作用から推察される哺乳中の児への影響、臨床使用経験等を考慮し、必要な事項を記載すること。」「母乳分泌への影響に関する事項は、哺乳中の児への影響と分けて記載すること。」が記載要領に示され、医療用医薬品の添付文書等の記載要領に関する質疑応答集(Q&A)には各注意事項の目安が示された。

平成31年4月1日に新記載要領の適用が開始され、平成36年(令和6年)3月31日までの5年間に可能な限り速やかにすべての添付文書が新記載要領に改訂されることになっており、現在は移行期間中である。独立行政法人医薬品医療機器総合機構では、平成30年度より新記載要領における記載内容にかかる相談を行っている。

本講演では、授乳に関する添付文書記載要領改訂の経緯を説明するとともに、これまでの新記載要領に基づく改訂相談の対応事例を紹介する。

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