日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: S31-2
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シンポジウム31
インビトロ・インシリコ手法を統合した新機軸のリードアクロス
*本田 大士
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抄録

化学構造に基づくリードアクロスは動物を用いない毒性評価の実現に向けた有望な方法であるが、①化学構造が必ずしも毒性に相関しないこと、②作用機序ベースの評価が困難であることが主要な課題である。我々はインビトロ試験の活用によって毒性応答を考慮したリードアクロスの実現を目指しているが、③インビトロからインビボへの外挿の難しさが新たな課題として浮上している。そこで、これらの課題解決のため、構造毒性相関とインビトロ-インビボ相関を統合し、インビトロのトキシコゲノミクスデータをインビボのトキシコゲノミクスデータへ変換することで、インビボにおいて予測される毒性発現機序に基づく生物学的同等性からリードアクロスを行う仮想マイクロアレイを構築した。仮想マイクロアレイは、「動物への反復投与、臓器摘出とRNA抽出、DNAマイクロアレイ解析」までの過程を代替するユニークな動物実験代替法である。一方、様々な毒性を対象にした複数のインシリコモデルから予測した網羅的な予測プロファイルを活用する統合的リードアクロスも期待されるアプローチである。新技術の活用によって、“構造類似性は低いが、毒性は近しいと考えられる物質”の情報を活用することで、リードアクロスの汎用性は飛躍的に高まる可能性がある。本発表では、インビトロとインシリコを統合する新機軸のリードアクロスの可能性を広く議論したい。

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