日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: S37-3
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シンポジウム37
加熱式たばこの曝露による雄性マウス生殖系への影響
*吉田 成一
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抄録

 喫煙による様々な健康影響が懸念されており、男性生殖系への影響も明らかにされている。最近は、副流煙が生じない加熱式たばこの使用が増加しているが、その男性生殖系への影響は不明である。副流煙が生じないが、妊娠中の喫煙は胎児に影響を与えることから、非喫煙者である出生した男性生殖系への影響も不明であり、明らかにする必要がある。そこで、妊娠マウスに加熱式たばこを曝露し雄性首相マウスの生殖系への影響を、成獣の雄性マウスに加熱式たばこを曝露し、雄性生殖系への直接影響を検討した。

 加熱式たばこは広く使用されているPhilip Morris社から発売されているIQOSを用い、妊娠マウスに1回4本、妊娠期間中に2回の曝露、あるいは成獣雄性マウスに1回4本、週に1回あるいは5回の曝露を8週間行い、造精機能、精子性状解析などを行い、雄性生殖系への影響を評価した。

 妊娠マウスに加熱式たばこを曝露し、雄性出生マウスヘの影響を検討したところ、5週齢のマウスにおいて、精細管障害や造精機能の低下が認められた。15週齢の時点ではこれらの影響が認められなかった。一方、成獣に加熱式たばこを曝露したところ加熱式たばこの曝露により精子性状の悪化が生じた。造精機能への影響は週5回曝露では生じたが週1回曝露では生じなかった。

 以上のことから、加熱式たばこは従来のたばこと比べると健康影響が小さいと思われているが、雄性生殖系への影響については、加熱式たばこであっても生じることが示唆された。

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