日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: S40-2
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シンポジウム40
日本動物実験代替法学会のこれまでの取り組みと課題
*秋田 正治
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抄録

 日本動物実験代替法学会の前身は、1987年に菅原努先生(京都大学名誉教授、本学会名誉会員)が発起人となり立ち上げられた「日本動物実験代替法研究会」であり、1989年に現在の本学会として正式に発足した。発足してからおよそ33年間が経過し、本年2022年1月から一般社団法人として、新たにスタートした。本学会は、動物実験の適切な施行の国際原則である3Rs(Reduction(動物数の削減)、Refinement(動物に対する苦痛軽減)、Replacement(動物を用いない代替法への置換))の推進と普及を目的とし、研究、開発、教育、調査等を行う学術団体である。この3Rsの原則は、1959年にWilliam Moy Stratton Russell(1925-2006)とRex Leonard Burch(1926-1996)が提唱し、1999年の第3回国際代替法会議でボロニア宣言として採択された動物実験を行う上での基本原則である。本学会は、この3Rsの達成に向けて様々な専門領域の研究者が真摯に議論し、試験法の開発や3Rsの普及などの活動を結局的に進めるとともに、動物実験の廃止を求める社会的情勢に対しても真摯に向き合い対話を続けている。

 本学会設立当初は、化粧品関連の研究者を中心に代替法研究が進められてきたが、昨今は、化学品、農薬、医薬品や医療機器などに従事される多くの研究者が参画してきている状況であり、この傾向は今後さらに多くの分野に広がることは必至である。そのため本学会は、代替法研究がさらにグローバル化することを積極的に推進するとともに普及活動に力を注がねばならい。そして、世界的な視野に立ち3Rsの推進に貢献できる活動を常に目指している。

 本講演では、日本動物実験代替法学会におけるこれまでの活動から今後の活動方針を紹介させていただくと共に、本学会の課題についても提示させていただく。

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