主催: 日本毒性学会
会議名: 第50回日本毒性学会学術年会
開催日: 2023/06/19 - 2023/06/21
【背景及び目的】LLNA: BrdU-ELISA法(LLNA-BrdU法)は、OECD TG442Bに登録され、LLNA-RI法と同様に化学物質の皮膚感作性を評価する試験法として汎用されている。また、LLNAでは化学物質が感作性陽性反応を示す推定濃度EC値が感作性強度の指標とされ、LLNA-BrdU法のEC1.6 及びLLNA-RI法のEC3が、GHS細区分や定量リスク評価の指標として用いられている。これまでEC1.6とEC3を定量的に比較した報告はないことから、既存データを基にLLNA-BrdU法のEC1.6とLLNA-RI法のEC3との関係を統計的に解析し、回帰式の構築を試みた。さらに、回帰式を用いたEC3予測値と実測値の比較によりその実用性を検証した。
【材料及び方法】LLNAの性能確認に用いられる感作性物質(15物質)の、既知のEC1.6及びEC3について、実数又は数値変換後に回帰分析を行い、決定係数(R2)を指標に最適な回帰式を決定した。次に、既知の感作性物質(34物質)のEC3実測値からLLNA-RI法におけるEC3の95%変動範囲を推定した。さらに、予測式の実用性についてICCVAMによるELISA法評価報告書収載の、EC1.6及びEC3が既知の感作性物質(32物質)を用いて検証した。
【結果及び考察】決定した回帰式(LogEC3=0.972LogEC1.6+0.118(±0.618))を用いてEC1.6から予測されたEC3は、27/32物質がLLNA-RI法における推定変動範囲内に分布した。また、変動範囲から逸脱した物質についても、その差は軽微であったことから、回帰式のEC3予測精度は良好であり、実用的なものであることが示された。