日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P1-100S
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学生ポスター発表賞 応募演題
Hu-liver cellを用いた胆汁酸依存性肝細胞毒性評価〜凍結初代ヒト肝細胞との比較の観点から
*内藤 駿哉竹村 晃典樋口 裕一郎上原 正太郎米田 直央末水 洋志伊藤 晃成
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抄録

【目的】当研究室では、胆汁うっ滞に伴う肝毒性発現リスク判別のin vitro評価系として胆汁酸依存的肝細胞毒性(BAtox)の評価系を構築して報告している。BAtoxの評価では凍結初代ヒト肝細胞(PHH)をゴールドスタンダードとして用いてきたが、ⅰ)ロット間差、ii)同一ロットの供給に限りがある、などの欠点がある。そこで、これらを解決し得る細胞として、ヒト肝キメラマウスから調製されたHu-liver cellに着目し、BAtoxの評価結果に特に影響を与える胆汁酸排泄トランスポーター(BSEP)の機能評価、ならびに典型的な薬物群についてのBAtox評価を実施し、PHHと比較した。【方法・結果・考察】3ロットの異なるドナー肝細胞由来のHu-liver cellを5日間培養し、BSEP機能の指標として胆汁酸排泄機能(BEI)を評価したところ、いずれも52〜87%と、PHHと同等以上の値を示した。22種類の薬物と胆汁酸の共曝露を行い、24時間後のBAtoxを評価したところ、毒性感受性の低いロットを1つ認め、これは移植肝細胞のロット差に起因すると考えられた。Hu-liver cellは、臨床における肝障害マーカー上昇頻度の大小判別に関して感度・特異度ともに63〜83%と、PHHと同等程度の予測精度を示した。PHHで認められたBAtoxがHu-liver cellでは認められない薬物が一部あり(flutamide, leflunomide, ticlopidine)、これについては両細胞のCYP活性の違いが影響している可能性が示された。【まとめ】Hu-liver cellはBAtox評価に必要な機能を有することが示された。PHHとの評価結果が不一致の薬物も一部存在したが、肝障害マーカー上昇頻度の判別精度はPHHと同等であり、PHHの代替として十分に利用できる可能性が示された。

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