日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P2-216
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トロバフロキサシン誘発肝障害の発症機序の解明
*田中 早織野田 拓誠浦嶋 和也幸田 祐佳加藤 隆児
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抄録

【背景・目的】トロバフロキサシン(trova)は重篤な肝障害を引き起こすためグローバル市場から撤退した医薬品であるが、その発生機序は不明である。 一方、我々は薬物あるいはその反応性代謝物が免疫細胞を活性化することで特異体質性の重篤副作用を起こすことを報告している。そこで、trovaまたはその反応性代謝物が免疫細胞を活性化するか検討するために、ヒト肝がん細胞(FLC-4細胞)およびヒト単球性白血病細胞(THP-1細胞)を用い、trovaまたはその反応性代謝物がインフラマソーム反応を活性化させるのかの検討を行った。【方法】3次元培養したFLC-4細胞にtrova 3.0、10、30 µMをそれぞれ添加し、7日間培養を行った。その後、THP-1細胞に培養液上清を添加し、IL-1β産生量およびcaspase-1活性を測定した。またABT(1 mM)はCYP活性を、Ac-YVAD-cmk(YVAD、1 µM)はcaspase-1活性を抑制するために使用した。【結果】THP-1細胞にtrovaを添加して培養した結果、control群と比較して培養液中IL-1β濃度および細胞中caspase-1活性に変化を認めなかった。しかしtrovaをFLC-4細胞に添加し培養後、その培養液上清をTHP-1細胞に添加して培養した結果、control群と比較して培養液中IL-1β濃度の有意な上昇が認められた。細胞中caspase-1活性についてはtrova 30 µMのみ有意な上昇が認められた。trova(30 µM)+ ABT群とtrova(30 µM)+ YVAD群では細胞中caspase-1活性の増加を認めなかった。【結論】trova自身がインフラマソーム活性化に影響せず、trovaの反応性代謝物がCYPにより産生されインフラマソームの活性化に関与している可能性が示唆された。

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