日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P3-256
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一般演題 ポスター
遺伝子治療製品における意図しない宿主ゲノムへの組み込み評価法の確立
*渡辺 雄大大谷 尚子川崎 秀吉串間 清司大村 功
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抄録

遺伝子治療ベクターは、機能的な目的遺伝子を標的細胞に導入するように設計されているが、生体内分布プロファイル、複製能力、および宿主ゲノムへの組み込み能などのベクターの特性に応じて、宿主ゲノムへの組み込みを引き起こす場合がある。ICH見解「生殖細胞への遺伝子治療用ベクターの意図しない組み込みのリスクに対応するための基本的な考え方」では、細胞の核に移行し、組み込み能力(組み込み機構)を持つベクターは,意図しないゲノム組み込みのリスクが高いという考え方が示されている。これまでに、ゲノム組み込みを分析するいくつかの方法(ligation-mediated PCR, linear amplification-mediated PCRなど)が開発されているが、評価に求められる検出感度や具体的な評価方法まではガイドラインに明記されていない。 本研究では、アダプターのライゲーション効率が良いことで高い検出感度が期待できる RAISING増幅とNGS 解析を用いて、レンチウイルスで GFP を導入したMIA PaCa-2 細胞株におけるゲノム挿入部位を調べた。さらに、デジタルPCRを用いたドロップオフアッセイ法によってゲノム組み込みの頻度を評価した。我々の結果は、RAISING/NGS 解析によってゲノム挿入部位を検出できること,そしてドロップオフアッセイ法によりその組み込み頻度を0.01%の高感度で検出できることを示した。これらの組み合わせた評価方法は、遺伝子治療製品の意図しないゲノム組み込みイベントを評価するための有用なツールとなり得る。

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© 2023 日本毒性学会
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