主催: 日本毒性学会
会議名: 第50回日本毒性学会学術年会
開催日: 2023/06/19 - 2023/06/21
【背景・目的】ROS assay は光反応性試験として ICH S10 Guideline 及びOECD TG No.495に収載され、昨年、本試験に関する医薬部外品申請ガイダンスも発出された。照射後のO2-のBlank吸光度上昇による試験不成立が推奨媒体DMSOに起因し、O2- scavengerであるCu2+がリン酸緩衝液(NaPB)に混入すると吸光度上昇が抑えられることを報告した1)。また、TG記載の習熟度確認17物質を用いて、NaPBにCu2+を0.1 μM添加する改良1)、及び、媒体をDMSOからアセトニトリル(ACN)に変更する改良法2)が有用であることを報告した。界面活性剤Tween 20を終濃度0.5%で添加して被験物質の溶解度を高めたmROS assay3)ではO2-のBlank吸光度上昇が顕著にみられたため、媒体をACNに変更したmROS (ACN)の検討を行った。
【結果】DMSOではTween 20終濃度0.01%においても顕著な発色が確認されたが、ACNでは終濃度0.03%までは陽性基準を下回ったため、終濃度0.03%を採用した。評価可能な化合物数はROS (ACN)で 28(68.3%)に対し、mROS (ACN) では35(85.4%)であり、Tween 20添加により評価可能な化合物数が増加した。また、DMSOを用いたmROSで偽陰性2物質が適切に陽性と判定され、感度の向上が確認された(感度100%)。
【結論】mROS (ACN)は、ROSでは評価が困難であった難水溶性化合物に対しての適用性が向上し、光安全性評価のスクリーニング法として有用であることを示した。
【参考文献】
1) Ohtake and Hirota, 2022. J Toxicol Sci 47, 109-116
2) 大竹ら、第49回日本毒性学会、P-91
3) Seto et al., 2013. Toxicol In Vitro 27, 1838-1846