日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S1-2
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シンポジウム1: 医薬品開発におけるバイオマーカー戦略の現状と展望
事例紹介:非臨床試験で発現した薬剤誘発性腎毒性におけるバイオマーカー検討事例
*藤田 卓也
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抄録

安全性バイオマーカーは、非臨床及び臨床研究において新薬候補化合物の安全性をモニタリング及び予測するための重要な医薬品開発ツールである。 古典的な腎障害バイオマーカーである血清クレアチニンやBUNは、非臨床試験において主要な腎バイオマーカーとして使用されているが、低感度であることから早期腎障害の指標としては不十分であると考えられていた。これに対して、近年 FDAのBiomarker Qualification Programは、第I相臨床試験において薬剤誘発性腎尿細管毒性を検出するための6つの尿中バイオマーカー(KIM-1、クラスタリン、シスタチンC、N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)、好中球ゼラチナーゼ結合リポカリン(NGAL)、オステオポンチン)についての適格性を示した。このように、安全性バイオマーカーは、薬剤開発の推進・改善への寄与が見込まれる。 非臨床試験の病理組織学的検査で見られた腎障害は、6つの尿中バイオマーカーのいずれかの上昇に関連する可逆的な尿細管の組織学的損傷が示された場合、臨床試験における安全性モニタリングに尿中バイオマーカーを使用することができる可能性を示唆する。しかしながら、尿中バイオマーカーは時に予期しない変動を示すことで判断を複雑化させるケースがある。 本演題では,当社の非臨床試験において薬剤誘発性腎毒性が出現した際の腎バイオマーカー解析事例について紹介したい。

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