日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S17-5
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シンポジウム17: ゲノム不安定性をみる~遺伝毒性研究のホットトピック~
中分子ペプチドの遺伝毒性評価における課題
*杉山 圭一
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抄録

アンメットメディカルニーズを満たす次世代の医薬品と目される中分子ペプチド医薬品は、その期待とは裏腹に、毒性評価法についてグローバルレベルで統一的な見解は定まってはいない。ペプチド医薬品の非臨床安全性評価における遺伝毒性評価については、「医薬品の遺伝毒性試験及び解釈に関するガイダンス」(ICH S2(R1))が参考になる可能性はあるが、非天然型ペプチド医薬品の合成方法や中分子としての分子量を考慮した遺伝毒性評価法を検討する必要性は否定できない。想定される分子量など特性が低分子医薬品とは異なることから、非天然型ペプチド医薬品の変異原性を評価するにあたっては、代表的な遺伝毒性試験である「細菌を用いる復帰突然変異試験(Ames試験)」を用いることの妥当性検証は論点の1つと考えられる。非天然型ペプチド医薬品合成時の不純物に対する遺伝毒性評価においても、Ames試験の有効性を含めて整理すべき課題は多いのが現状と考える。 医薬品の安全性を科学的知見に基づいて適正に評価する上で、本講演では中分子ペプチドとしての非天然型ペプチド医薬品の遺伝毒性評価について考慮すべき点を考察したい。

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