日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S20-5
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シンポジウム20: 【日本免疫毒性学会合同シンポジウム】免疫毒性学ってナンだ? −“働く免疫細胞”に起こる毒性影響,活性化と抑制 −
皮膚感作性に関する研究の現状と展望
*足利 太可雄
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抄録

アレルギー性接触皮膚炎は様々な免疫細胞が関与するⅣ型の遅延アレルギーであり,化学物質に繰り返し接触することでかぶれなどの皮膚疾患が生じることが知られている。皮膚感作性は、化学物質がアレルギー性接触性皮膚炎を引き起こす性質のことであり、様々な化学物質に接触することが避けられない日常生活の質に大きな影響を与えるため、安全性評価項目の中でも重要な毒性である。また、皮膚感作性はAOP(Adverse Outcome Pathway)が比較的明確であり、動物実験が困難な化粧品の安全性評価の主要な項目であるため、これまでin vitroあるいはin silico試験法が数多く開発されてきた。これまでAOPの各KE(Key Event)に相当するin vitro試験法がOECDテストガイドラインに収載されてきたが、それぞれ単独での評価は不可能とされていた。そこで2021年に、複数のin vitroとin silicoモデルの確定方式(Defined Approach)による組み合わせが開発され、2021年にOECDテストガイドラインTG497となった。しかし、組み合わせに使用できるin vitroおよびin silico試験は限られており、リスク評価に必要な強度予測法は確立されていない。そのため現在OECDでは、TG497の拡張を目指した検討が行われており、その現状を紹介する。また、演者はこれまで機械学習による皮膚感作性強度予測法の開発に取り組んでおり、その概要を紹介するとともに、活用事例として皮膚感作性における毒性学的懸念の閾値(TTC:Threshold of Toxicological Concern)コンセプトの開発を紹介する。さらに、酸化染料パラフェニレンジアミンの三量体であるバンドロフスキーベースを例に、動物を用いない強度予測と定量的リスク評価の試みについても紹介する。

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© 2023 日本毒性学会
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