日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S21-1
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シンポジウム21: 【日本薬理学会合同シンポジウム】薬物副作用に関わる性差
心毒性の性差
*黒川 洵子児玉 昌美清水 聡史坂本 多穗
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抄録

 薬の効き方や副作用には男女差があることが明らかとなってきており、生物医学研究では早急な対応が求められている。2015年6月に、ヒトおよびほ乳類を用いた全ての研究計画において、性による結果の違いの可能性を議論することをNIHグラント申請の要件とする声明 (NOT-OD-15-103) が発出されたこともあり、昨今の性差研究への注目度は高い。 我々の研究室では、主に循環器領域における男女差に注目した研究を遂行している。例えば、薬剤による心室再分極遅延(QT間隔延長)リスクや心臓突然死発症率は女性で高いことが知られる。この性差には心電図QT間隔が成人女性で同世代の男性よりも長いことが関連しており、思春期や性周期における変化から性ホルモンの影響が示唆されてきた。我々は、その分子メカニズムとしてNOを介した心筋細胞の性ホルモンシグナルが関与しているのではないかと提唱している。しかし、このような基礎研究の結果を如何にして生体反応における解釈に反映させるかというトランスレーションについては、今まさに取り組むべき課題と考える。また、薬物による心不全毒性の性差も今後の課題である。今回のシンポジウムでは我々が行っている独自の取り組みを紹介し、今後の課題についての議論を深めたいと考えている。

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