日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S22-2
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シンポジウム22: 【日本毒性病理学会合同シンポジウム】日本毒性病理学会からのトピック:病理学的観点から見た化合物による毒性反応の種差
眼球構造の種差が毒性発現に及ぼす影響
*能登 貴久
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抄録

 非臨床安全性試験において眼毒性が認められた場合、開発中止を含めたクリティカルな判断を迫られることが多い。しかしながら、動物で認められた毒性が必ずしもヒトで生じるわけではなく、有用な医薬品を提供する機会を逸している可能性は否定できない。反対に、非臨床試験では検出できなかった所見がヒトで発現することもあり、非臨床試験での毒性所見検出力の課題も指摘されている。

 これら毒性種差が生じる理由の1つとして、ヒトと実験動物の眼球構造の違いがあげられる。動物種による眼球構造の差異といえば、網膜の血管構造、黄斑の有無、タペタムの有無などがあげられるが、単なる大きさ(眼球全体、水晶体)や組織間の距離(角膜と水晶体)などが、毒性発現の有無を規定する因子となることもある。

 本発表では、眼球構造(眼付属器を含む)の種差について概説したうえで、毒性発現の関連性について、既知の眼毒性物質を例示しながら考察する。さらに投与方法、すなわち全身投与および局所投与(点眼投与、硝子体内投与)による毒性発現の違いについても言及する。

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