日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S23-3
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シンポジウム23: シグナル伝達相互作用による発生制御機構とその破綻による発生毒性の予測
多色リアルタイム発光測定システムの構築とセルベースアッセイへの応用
*中島 芳浩
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抄録

発光レポーター遺伝子であるルシフェラーゼは、遺伝子発現等の細胞イベントを定量的にモニターするためのツールとして汎用されている。ルシフェラーゼを用いた細胞アッセイでは、特定のタイミングで細胞を破砕して発光を測定するエンドポイントアッセイが主流であるが、細胞を破砕せずに連続的に発光を測定するリアルタイム発光測定も行われている。リアルタイム発光測定では、エンドポイントアッセイでは困難な遺伝子発現の動的変動を測定できることから、より詳細に被験物質の細胞に与える影響を解析することができる。これまで我々は、様々な発光生物由来のルシフェラーゼをセルベースアッセイ用レポーターとして開発してきた。その中で、共通の発光基質(D-ルシフェリン)により緑色と赤色に発光する2種類のルシフェラーゼを併用する多色リアルタイム発光測定法を構築し、種々のセルベースアッセイに適用してきた。現在、種々の細胞ストレス応答をモニターする多色発光細胞群を樹立し、有効性や毒性評価等を実施している。本講演ではリアルタイム発光測定系の利点に加え、毒性評価の応用例として、肝毒性予測システム構築に資するインビトロ試験データの収集を目的に実施した、学習用化合物の酸化ストレス、炎症、小胞体ストレス、低酸素ストレスおよびDNA損傷に対するリアルタイム発光測定データの結果とin vivo毒性との相関に関する考察についても紹介したい。

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© 2023 日本毒性学会
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