主催: 日本毒性学会
会議名: 第50回日本毒性学会学術年会
開催日: 2023/06/19 - 2023/06/21
基本的に薬学部における講義は薬学教育モデル・コアカリキュラムに沿って進めることとなっている.このカリキュラムでは卒業時までに修得すべき「薬剤師として求められる基本的な資質」を身につけるための一般目標が設定されている.加えて,この目標を達成するための到達目標(SBO:specific behavioral objective)が明示されている.したがって,シラバスはSBOと科目の連関が明確になるように予め組み立てられている.薬理学のSBOにおいては「毒性学」や「毒性」に関する項目は記載されていない.関連する用語としては,薬物依存性,耐性,医薬品の安全性というものが示されている程度である.むしろ,薬学における「毒性学」は「衛生薬学」の中で構成されており,主に化学物質・放射線の生体への影響などの項目が該当する.このように,薬学部では「毒性学」の対象を医薬品に限定せず,より大きな枠である化学物質全体に焦点を当てて学習する特徴がある.したがって,薬学部の学生・院生は少なくとも学部教育において複数科目で「毒性学」を学ぶことになる.研究面では,毒性学を中心に展開されている研究室も存在するが,最近では薬理系,衛生系,生化系などの複数の講座でも行われている.医薬品評価を行う薬学部においては必須の研究分野であり,薬学部学生・院生にとっては馴染みのある研究テーマとなっている.このシンポジウムでは,講義カリキュラムの説明と,薬理学的側面からの毒性学研究アプローチについても紹介する予定である.