主催: 日本毒性学会
会議名: 第50回日本毒性学会学術年会
開催日: 2023/06/19 - 2023/06/21
カドミウムは、疫学的にも、実験的にも雄生殖器系に有害性を示す環境中重金属の1つである。一方、生体内には、必須微量元素である亜鉛や銅と親和性の高い金属結合タンパク質メタロチオネインが発現し、有害金属であるカドミウムとも結合する能力を有して、その毒性を調節することが知られている。メタロチオネインには、4つの亜型が存在し、IおよびII型は全身に、III型は精巣、脳および腎臓に、IV型は舌に、それぞれ局在する。カドミウム毒性の先行研究では、主として、メタロチオネインI型およびII型に注目し、それら分子によるカドミウム毒性の軽減効果を示した報告が多いが、メタロチオネインIII型の役割については、十分に解明されていない。カドミウムによる精巣毒性発現機構を考慮する上で、メタロチオネイン亜型の違いがカドミウム精巣毒性の発現様式に及ぼす影響を解明することは重要である。本シンポジウムでは、カドミウム精巣毒性におけるメタロチオネインIII型の役割について紹介する。