日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S31-4
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シンポジウム31: エピジェネティクス研究の新機軸〜モデル動物からヒトまで〜
精神疾患のエピジェネティクス
*岩本 和也
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抄録

主要な精神疾患である統合失調症や双極性障害は、近年のゲノムワイド関連解析から、effect sizeの小さな多数のゲノム要因が関連するpolygenic な疾患であることが示され、また、コピー数多型やエクソーム解析などから、effect sizeは大きいが頻度が稀なレアバリアントの関連が報告されている。精神疾患のgenetic architectureは急速に明らかにされつつある一方、従来のゲノム解析だけでは発症要因を完全に説明できず、遺伝・環境相互作用の重要性が改めて認知されつつある。DNAメチル化やヒストンタンパク質の修飾といったエピジェネティックな状態は環境要因の影響を受けて変動し、細胞や組織における長期的な遺伝子発現制御に関わっている。我々は、精神疾患患者試料や動物モデルの検討を通して、脳神経系および末梢試料にどのようなエピゲノム変化が生じるのかを明らかにしてきた。本会では精神疾患におけるエピゲノム研究の重要性と共に、細胞種特異的エピゲノム解析や妊娠期母体免疫活性化の影響など、我々の最近の成果を紹介する。

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