日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-120S
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一般演題 ポスター
NASHマウスモデルによる肝臓病態の進行と血中Mac-2 binding protein(Mac-2bp)濃度の関連性の検討
*神野 涼平上地 哲平当摩 茉莉花煙山 紀子笹瀬 智彦前川 竜也中江 大美谷島 克宏
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抄録

【目的】Mac-2 binding protein (Mac-2bp)は、分子量約90kDaの分泌型糖タンパクで、Galectin-3のリガンドとして知られている。Galectin-3との相互作用を介し、細胞接着を調節していると考えられている。既にMac-2bpの血中濃度とNASHをはじめとする慢性肝疾患との関連は報告されている。本研究では、食餌性誘発マウス肝NASHモデルの病理学的変化と血清中Mac-2bp濃度の関連について解析した。

【材料及び方法】6週齢雄性C57BL/6マウスに、基礎飼料とコリン欠乏メチオニン低減高脂肪アミノ酸食(CDAHFD)食を自由摂取させた。給餌期間は2, 8及び52週間とした。各期間終了時に採血及び肝臓を採取し、血液生化学的検査(Mac-2bp測定を含む)、病理組織学的検査、遺伝子発現解析を実施した。

【結果】血清中Mac-2bp値は、CDAHFD群において、2週間から増加し、その後さらに高値を示した。病理組織学的検査では、CDAHFD群において、2週間から顕著な肝細胞脂肪化、8週間から炎症及び線維化、52週間では結節性腫瘤を呈する腫瘍性病変も認められた。肝組織のシリウスレッド染色による肝線維化の画像解析、肝臓中Hydroxyproline量、線維化関連遺伝子の発現は、給餌期間に依存して増加した。これらの変化は血清中Mac-2bp濃度との相関が認められた。さらに、肝腫瘍マーカーであるα-fetoprotein(AFP)及び結節性病変の大きさ、血清中Mac-2bp値においても一部に関連性が見られた。

【結論】マウスNASHモデルにおいて、血清中Mac-2bpは、肝線維化病態だけでなく肝腫瘍のバイオマーカーにもなり得る可能性が示された。

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