主催: 日本毒性学会
会議名: 第51回日本毒性学会学術年会
開催日: 2024/07/03 - 2024/07/05
背景・目的:
使用者安全の観点から、重篤な眼刺激性(GHS分類:区分1)を有しない農薬製剤の開発が望まれる。そのため、従来はウサギを用いた眼刺激性試験を実施してきたが、試験期間が長く、また、動物愛護の観点で課題があった。そこで、我々はVitrigel®-Eye Irritancy Test(EIT)が農薬製剤のスクリーニング試験として適用できるかを検討した。Vitrigel®-EITは被験物資をヒト角膜上皮モデルに暴露した後の経上皮電気抵抗(TEER)を測定する方法であるため、農薬製剤の色調や剤型が測定結果へ干渉する可能性は低く、刺激性の強弱の判定が可能であると推測された。そこで、我々は2種類の剤形(粒剤及びフロアブル)を使用し、これら農薬製剤のin vivo試験(OECD TG405準拠)との相関性を確認することで、Vitrigel®-EITが農薬製剤に適用できるか否かを検討したので紹介する。
方法:
OECD TG494を一部変更した方法で行った。即ち、農薬製剤とヒト角膜上皮モデル用培養液を混合し2.5%希釈液とした。これをヒト角膜上皮モデルに暴露した後、TEER値の経時変化を3分間測定した。その後、測定結果とin vivo試験結果との相関性を評価した。
結論:
重篤な眼刺激性(GHS分類:区分1)か否かの予測における正確性はフロアブルが90%、粒剤が88%であった。したがって、我々が実施した試験法はこれら農薬製剤に適用できると考えられた。