日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-135
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一般演題 ポスター
ヒトiPS細胞由来ニューロンのMEA計測における殺虫剤の神経毒性評価と作用機序予測
*松田 直毅永福 菜美石橋 勇人鈴木 郁郎
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抄録

神経毒性における化学物質の in vivo 評価には、かなりの時間と費用が必要であること、げっ歯類からヒトへの外挿が必要であること、毒性メカニズムに関する情報が限られていることから、一定の制限がある。このような現状から、神経毒性における化学物質のin vivo評価には限界があり、従来のin vivo試験より効率的かつ予測性の高いNew Approach Methodologies(NAM)を利用したin vitro試験法を開発する戦略が期待されている。本研究では、化学物質の神経毒性評価における動物実験を代替するin vitro試験法の1つとして、平面微小電極アレイ (MEA) システムによるヒトiPSニューロンを用いた神経毒性評価法の構築を目的とした。 具体的には、MEA上に培養したヒトiPS細胞から作用機序の異なる10種類の殺虫剤と4種類の陰性化合物の用量依存的なデータを取得し、ラスタ―プロット画像の特徴量および、バースト関連パラメータの機械学習による毒性検出、作用機序予測法を開発した。化合物にはニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストのAcetamiprid、Clothianidin、 コリンエステラーゼ阻害剤のAldicarb、Carbaryl 、GABAA受容体 アンタゴニストのFipronil, Lindane, Dieldrin, NaチャンネルopenerのDeltamethrin, Permethrin, Cypermethrinの10種類の殺虫剤 と陰性化合物であるAcetaminophen, Amoxicillin, Aspirin, DMSOの4種類を使用した。バースト関連パラメータを用いたone-class SVMSVMモデルは、農薬関連の7種類の化合物のリスクを検出し、濃度依存的なリスク上昇を検出できた。ラスタープロットの特徴量から作成した AI は 10 種類の殺虫剤と4種類の陰性化合物の毒性判定に成功し、未学習化合物においても毒性判定と作用機序予測に成功した。本研究で実施した機械学習を用いたMEAシステムによるヒトiPSニューロンにおける神経毒性評価法はヒト神経に対する化学物質の毒性を評価する方法として有効であり、動物実験を代替する化学物質のin vitro神経毒性試験法の1つとして期待される。

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