日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: S15-1
会議情報

シンポジウム15: 鳥の鉛中毒:国内で「今」起きている健康被害
鳥類の鉛中毒とは
*石塚 真由美池中 良徳中山 翔太
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

鉛製の銃弾や釣り重りによる鳥類の鉛汚染は、現在、世界的な課題となっている。日本では、平成9年頃から北海道のオジロワシ等の猛禽類において、シカ猟等で大量に使用されている鉛銃弾を摂取したことによる中毒症例が相次いで確認された。そのため、平成12年から北海道全域で鉛銃弾の規制が開始され、現在、鉛弾の使用に加え、エゾシカを捕獲する目的での鉛弾の所持が禁止されている。しかし、未だ、オオワシ、オジロワシでの鉛中毒の発生が後を絶たない。一方、国内では農林水産業や生態系及び生活環境に係る被害をもたらすシカやイノシシなどの鳥獣が増加している。現在、本州 ではニホンジカの捕獲頭数だけでも約60万頭にのぼり、過去15年間で約4倍に増加している。そのため本州以南では 鉛製銃弾の銃猟による捕獲は増加傾向にある。これまでの調査では、既に本州以南の猛禽類の傷病鳥獣個体の約1割から、鉛中毒症状は示さない低濃度の鉛が血液等から検出されている。本シンポジウムでは、今、日本で何が起こっているのか、鳥類の鉛中毒と汚染の実態を明らかにする。

著者関連情報
© 2024 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top