日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: S27-2
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シンポジウム27: Microphysiological systems の行政・産業への受入れの現状と課題
集中研究拠点におけるMPS研究〜あたりまえの技術を目指して〜
*伊藤 弓弦佐藤 琢豊田 裕子長崎(大貫) 玲子相木 泰彦石井 秀春野末 綾佳矢ヶ部 康子安東 治甲斐崎 郁子戴 剣平楠原 洋之
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抄録

生体模倣性の高いセルベースアッセイ、動物実験代替法等、様々な強みが期待される評価系として、MPS(Microphysiological System)が医薬品開発の現場に浸透し始めている。従来のin vitroアッセイとくらべて微小流路による灌流や3次元的組織の配置を可能としたことから、操作性の難しさが上昇し、ロバストなアッセイ系として社会実装されるまでの課題も多い。AMED「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した高度な創薬支援ツール技術開発)」において、我々はそのようなMPSを運用する上での課題解決を目指し、事業内で開発されたMPS(腸肝連関、消化管、血液脳関門)の適格性検証データを取得中である。

腸肝連関MPSとしては、名古屋市立大学松永教授らが中心となって開発した「MS-plate」の検証を進めている。小腸上皮細胞と肝細胞を搭載し、灌流で連結した培養系で、小腸初回通過効果などを検討可能である。消化管MPSとしては、東海大学木村教授らが中心となって開発した多孔膜搭載型マイクロ流体チップ「Fluid3D-X®」に小腸上皮細胞を播種の上、各種薬物動態データの取得することで、系の評価を進めている。また、血液脳関門MPSとしては大阪大学松崎教授らが中心となって開発した「BBB-NET」の適格性検証を進めており、受容体介在型輸送モデルとしての運用が期待される。現在、ユーザーのContext of Useを把握し、細胞、播種、培地、培養条件等のアッセイプロセス最適化を行い、経口投与薬物の吸収や代謝を指標として検証を進めている。特に日間差、作業者間差、施設間差のデータを取得することで、アッセイプロセスの変動要因明確化も同時に進めている。本発表では、これら検証結果及び「当たり前に使用できる」アッセイに作り込む上での取組に関して紹介する。

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