日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: S27-4
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シンポジウム27: Microphysiological systems の行政・産業への受入れの現状と課題
CROにおけるMicrophysiological systemsの活用について
*諏訪 喜昭
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抄録

近年,医薬品や化学合成品の安全性評価を含めた様々な領域において,in vitro評価系や動物実験代替法が推進される状況が高まっている.背景として,医薬品モダリティの多様化に伴い種特異性の高い医薬品が開発され,動物実験による有効性・安全性の評価が困難なケースが出てきている点が挙げられる.一方で,2022年にFDA近代化法2.0が成立し医薬品申請にin vitroデータの受入が許容され,動物実験代替法の推進が広まっている.このような情勢の中,生体内における反応を模倣した微小環境で細胞培養を行うMicrophysiological systems (MPS)への関心が高まっている.MPSにヒト由来/ヒトiPS由来の細胞を搭載することでヒト特異的な反応を検出することができ,また,灌流培養・複合培養を行うことで生体内反応を模倣できる点に期待が高まっている.

MPSの導入状況に関して,海外においてはMPSの開発・販売,使用に関するサポート,アッセイ系構築や受託測定などのCROサービス等を一気通貫でスピード感を持って行う体制が確立しており,IND申請の資料に使用されるケースも出てきている.一方で,日本では,開発者–使用者の連携が未発達であり,日本国内におけるMPS導入の障壁のひとつとなっている.そのような中,日本においても2017年より5年間「再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発事業(AMED-MPS事業)」が実施され,MPSを構築するデバイスと細胞の開発が進められてきた.そして2022年より5年間,第二期事業としてAMED-MPS2が進行しており,MPSの社会実装が進められている.当社は,MPSデバイスの開発者と使用者との架け橋となるべく,AMED-MPS2事業に参画している.本発表では,株式会社新日本科学におけるCROとしてのMPS導入及び社会実装への貢献について紹介する.

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