日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: S29-2
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シンポジウム29: 毒性研究者によるPDE/OEL 算出―医薬品の品質管理と労働者の安全性担保の ために-
製薬産業におけるPDE・OELの使われ方
*長谷川 知之
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抄録

医薬品の品質管理では、2018年にPIC/S から発出されたHBELガイドライン1)で、医薬品を共用設備で製造する場合、交叉汚染による曝露リスクを管理するために、科学的評価によって算出される健康への影響に基づく曝露限度値(ADEやPDE等)を設定する必要があるとしている。また本内容は、日本においても2021年の改正 GMP 省令公布通知にも記載された。産業衛生面では、昨今の労働安全衛生法改正によって、化学物質管理は国による化学物質ごとの規制から、各企業の自律的な管理へと見直され、製薬産業においても医薬(原薬)の曝露濃度をなるべく低くする措置を講じる努力義務が生じている。

PDE(1日曝露許容量)は医薬(原薬)の製造現場で、製造設備への残留等が原因で次製品に混入した前製品の薬効や毒性が、次製品を服薬される患者さんに健康障害をもたらすリスクを低減させる事を目的として、製造設備の洗浄基準を設定するために利用される。一方、OEL(職業曝露限界)は医薬(原薬、その他の化学物質も含む)を取り扱う場で、化学物質曝露により取扱者に健康障害をもたらすリスクを低減させる事を目的として、製造設備や保護具等を選定するために利用される。本講演では、製薬産業の製造現場で実際にPDE/OELがどのように利用されているかを紹介したい。

1) Guideline on setting health based exposure limits for use in risk identification in the manufacture of different medicinal products in shared facilities

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