2018 年 74 巻 2 号 p. I_145-I_150
長期海面変動量の推定は,定期的に地盤変動量を観測し補正しなければならない.近年,高齢化に伴う測量技術者の不足,費用面の問題があり,簡易手法で地盤高さを管理することが喫緊の課題である.本研究は,GNSS測量による地盤変動量を考慮した海面変動量の推定を試みた.三河港は,検潮記録をもとに推定した年平均海面変動量は,-3.20 (mm/year)であった.伊勢湾沿岸の鳥羽,名古屋港,鬼崎でも,同様に下降していた.三河港での球分体楕円体高は,GNSS測量によると直近5年間で68.4mm (13.7mm/year)上昇していた.また,セミダイナミックパラメータによる1997年から19年間での地盤変動量は,120mm(6.32mm/year)上昇していた.地盤変動を考慮すると三河港での年平均海面変動量は,3.12(mm/year)上昇と推定された.さらに,被災時の復旧段階での検潮所の高さ管理の手法を提案した.