日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: S4-3
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シンポジウム4: 生体金属部会シンポジウム: 〜金属による免疫毒性〜
マクロファージによるカーボンナノチューブ認識と炎症誘導機構
*中山 勝文
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抄録

カーボンナノチューブ(CNT)は金属的にも半導体的にもなり得るナノ物質であり、その優れた物性によりエネルギー、バイオ、ITといった多岐に渡る分野での応用が期待されている。その一方で、一部の多層CNT(MWCNT)はアスベスト様の毒性を示すことが多くの動物実験で認められている。そのため今後は、より安全なCNT開発に向けてその毒性発現分子機構の解明とヒトへの外挿が求められている。CNTを含む多くのナノマテリアルは生体内でマクロファージなどの貪食細胞に取り込まれ、その細胞ストレス応答(NLRP3インフラマソームの活性化や細胞死など)が毒性発現に関与すると考えられている。しかしながらその詳細について多くのことが判っていない。私たちは最近CNTを認識する免疫受容体としてマウスT cell immunoglobulin mucin4 (Tim4)とヒトsialic acid immunoglobulin-like binding lectin (Siglec)-14を同定し、それら受容体を介して炎症応答が引き起こされることを明らかにした(Omori et al., Cell Rep., 2021; Yamaguchi et al., Nat. Nanotechnol., 2023)。本シンポジウムでは、私たちの最近の研究成果を中心にCNTの炎症誘導分子機構について紹介したい。

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