主催: 日本毒性学会
会議名: 第51回日本毒性学会学術年会
開催日: 2024/07/03 - 2024/07/05
近年では、新たな低分子創薬が技術的に困難になっていることや、バイオ医薬品の標的となる細胞外分子も枯渇しつつあるために、"New Modality"(新規モダリティ)と呼ばれる新たな治療手段に注目が集まっている。この「新規モダリティ」という用語は、創薬において、中分子ペプチド、核酸医薬、遺伝子治療用製品、細胞加工製品など、従来の低分子医薬品や生物製剤/バイオ医薬品とは異なる新しいクラスやタイプの治療手段を総称して使用され、例えば、細胞内分子を標的とするなど、従来の医薬品では困難であった様々な疾患に対する新たな治療選択肢を提供する可能性が期待されている。
PMDAでは、これまで「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)のもと、より有効でより安全な製品をより早く医療現場に届けるべく、「品質」、「非臨床」及び「臨床」の観点から新規モダリティを多面的に評価し、「リスク・ベネフィット」を勘案して世に送り出すよう努めてきた。特に、アンチセンス核酸、siRNAやCAR-T細胞などの新モダリティについては、その革新的な作用機序のため、一日でも早い製造販売承認が期待されたが、同時に、十分な開発経験が得られていない中で、ヒトでの安全性を慎重に評価することも求められてきた。
本講演では、PMDAがこれまでに実施した薬事戦略相談、治験相談、承認申請などの経験に基づき、様々な新規モダリティについての非臨床安全性試験の考え方を整理した上で、新規モダリティの非臨床安全性評価に関する相互理解を深めたい。