富山救急医療学会
Online ISSN : 2434-8457
Print ISSN : 2185-4424
一般演題
重症頭部外傷を伴った小児交通外傷の1例
谷 昌純宮越 達也古村 芳樹水田 詩織河合 浩太坂田 行巨渕上 貴正大鋸 立邦松井 恒太郎齊藤 伸介川端 雅彦
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2017 年 35 巻 p. 9-

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抄録

小児の交通外傷による重症頭部外傷で昏睡状態、呼吸停止となったが、右不全片麻痺、右動眼神経麻痺は残存するものの意識障害は改善しリハビリ病院転院となった症例を経験したので報告する。
症例は7歳女児。2017年7月小学校からの帰宅途中の夕刻、右側より来た普通乗用車に約50km/hのスピードで衝突され5mほど飛ばされた。受傷直後より意識がなく付近にいた教師がAEDを装着し心肺蘇生を行った。心臓マッサージでの体動は激しく、救急隊が接触し総頚動脈の触知を認めたため心臓マッサージは中断させた。受傷機転よりLoad&Goの適応でバックバルブマスクによる補助換気を行いながら当院に搬送された。意識レベルはGCS4点(E1V1M2)であり切迫するDを認めた。血液ガス分析では呼吸性アシドーシスを認めた。当院初療途中で呼吸停止となり気管挿管を施行した。Trauma pan scan CTを施行したところ、外傷性くも膜下出血、脳挫傷、肺挫傷、右恥坐骨骨折を認め、他にも右前腕骨骨折を認めた。重症頭部外傷に対しては保存的加療を行う方針でICUでの脳平温療法を行った。第5病日に人工呼吸器から離脱し、第7病日一般病棟へ転棟となった。MRIでびまん性脳軸索損傷を両前頭葉中心に認めた。右不全片麻痺、右動眼神経麻痺は残存するものの意識障害は改善しリハビリ病院転院となった。

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