富山救急医療学会
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Print ISSN : 2185-4424
一般演題
幼児の難治性心室細動におけるドクターヘリでの対応
渕上 貴正宮越 達也古村 芳樹水田 詩織河合 浩太坂田 行巨大鋸 立邦松井 恒太郎齊藤 伸介川端 雅彦
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2017 年 35 巻 p. 10-

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抄録

【症例】4才2ヶ月女児
【既往歴】特記なし
【主訴・現病歴】保育園の園庭で遊んでいた際に、ジャンプした後突然倒れ、目撃者により救急要請された。救急隊現着時心肺停止状態であったためドクターヘリ(以下DH)要請された。救急隊接触時bystander CPRあり。初期波形は心室細動であり除細動を1回施行後、発生11分後に自己心拍再開した。
【現症】DHスタッフ接触(発症23分後)時自発呼吸あり、頸動脈触知可能、HR 108回/min、GCS3点(E1V1M1)。
【経過】静脈路確保後ドクターヘリにて当院搬送した。途中嘔吐を認め気管挿管を施行した。(発症38分後)病院到着後も多形心室頻拍ないし心室細動と自己心拍再開を繰り替えしたため電気的除細動、アミオダロン、硫酸マグネシウムを投与し安定した心拍再開を得てICUへ入院、目標体温管理をはじめとする全身管理が施行された。第26病日に自宅退院となった。経過中の精査にて心形態異常は認めず、心電図にてnotched T、Twave alternanといった所見を認めQT延長症候群が疑われた。
【考察】幼児の院外心停止は稀である。学校における内因性心停止は目撃があることが多く、bystanderCPRやAEDの使用により良好な転帰を得られるケースが多いものの、本症例のように致死性不整脈を繰り返す場合、ドクターヘリ内でも速やかな薬剤投与が必要となる。体重別薬剤換算表の使用やスタッフ間でのシミュレーション教育といった日常的な準備が重要と考えられる。
【結語】小児の院外心停止例に対して日頃から準備を行うことが重要である。

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