富山救急医療学会
Online ISSN : 2434-8457
Print ISSN : 2185-4424
第42回学術集会抄録集
30年を迎える今、何が問われているのか
阪神淡路大震災の医療現場から
水谷 和郎
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 42 巻 1 号 p. 9-

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抄録
その日の兵庫県立淡路病院の当直は静かな夜でした。たまたま5時30分に目を覚ましたため、時計で時間は確認。その後しばらくして突然の地鳴りと激しい揺れ。内科当直医であった私はちょっとしたイベント気分で救急外来へと降りていきました。後に阪神淡路大震災とされる淡路島を震源とした直下型地震。大規模災害未経験の淡路島において、その後に何が起きるのかが予見できた人は極少数だったでしょう。発災後の映像には多数傷病者に対する病院の様々な人々のそのままの記録が残されています。本演題では淡路病院映像を供覧することで、多数傷病者対応の現実を疑似体験していただきます。もし今この瞬間に実際に被災をしたら、初期対応はどうするのか、指揮命令はどうするのか、トリアージをどうするべきか。短い映像ではあるものの、この過去の現実が災害に関わる全ての職種の方々にあらためて考えるべき様々な問題を投げかけます。震災以後、東日本、熊本と災害対応は進歩しています。2024年1月1日、能登半島地震が起きました。その光景は正直30年前を思い起こさせました。果たして当時の検証に基づいた災害医療対応が本当に良くなってきているのか。あらためて皆さんに問いたいと思います。
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