教育学の研究と実践
Online ISSN : 2432-9134
Print ISSN : 1349-8266
正則高等学校における近津経史の教育実践に関する検討
教育課程の自主編成論を中心に
谷口 知弘, 田岡 昌大
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2026 年 21 巻 p. 1-12

詳細
抄録
本研究の目的は、正則高等学校における近津経史の教育実践の特徴と意義について、その背景にあった教育課程の自主編成論との関係から明らかにすることである。当時の正則高等学校では、教育課程の自主編成が課題となっていた。その中で展開された近津の教育実践は、当時の校長であった城戸幡太郎の教育課程の自主編成論の影響を受けていた。しかしながら、近津の実践は、城戸の理論を具体化した実践とも言えない、独自の展開と意義があった。このことを明らかにするため、本研究では、次のことを検討した。まず、城戸の教育課程の自主編成論と、その思想を検討した。次に、近津らによる教育実践と、その特徴を検討した。ここで検討対象としたのは、1977年度から1980 年度にかけて、近津らによって発表された教育実践記録である。検討の結果、近津らの教育実践には、学習意欲と学ぶ目的の回復という点で独自性があることが明らかになった。城戸の教育課程の自主編成論は、科学的認識、科学的方法そして各教科の知識を「総合(インテグレート)」するという特徴があった。これに対して、近津らの実践には、城戸の教育課程の自主編成論の必要条件としての意義はあったものの、城戸の思想と同一とまでは評価できなかった。しかしながら、学習意欲と学ぶ目的の回復を目指し、実現した点では、教育実践としての独自性があった。また、その独自性は今日的にも意義のあるものであることが明らかになった。
著者関連情報
© 2026 北海道教育学会
次の記事
feedback
Top